ナシオの巣

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宗谷本線秘境駅巡り2020夏 part2「鉄道旅ブログ」

前回への乗り換え案内

nashio334.hatenablog.com

 

ハプニング発生

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ここからは4326D名寄行きの列車に乗って、一気に南下していくことに。

車内には相も変わらず地元住民らしき人は見えないものの、意外にも観光客と鉄道ファンらしき人で賑わっていた。まあそれでも席が半分埋まる程度だが。

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運転台に目を向けるとワンマン運転ではあるものの作業着姿の人が一緒に乗っていた。

 

この列車には約90分程乗車する。時々車窓撮ったり、Twitter見たり、ボーっとしたりとダラダラ過ごしていたのだが、突然syun君がこんなことを言った。

s「あれ?」

ワイ「どうした?」

s「携帯...一つ足りない...」

 

携帯は普通一人一台だろと思った方もいるかもしれないが、彼は三台持っている。どうやらその一つをどこかで落としたらしいのだ。

慌てて探し始めた。俺ももしかしたら、何かの理由で(トイレとか)携帯を預かったかもしれないのでカバンの中などを探したが、見つからない。

最後にその携帯を見たのが、天塩中川の時だったと言っていたので、電話をして天塩中川駅の観光協会の人に探してもらうも、見つからず撃沈。次にその落とした携帯に電話をかけてみる事に。そうすると誰かが電話に出た。

 

s「すみません、その携帯の持ち主なんですけど...」

預かり人「あーー今どちらにいます?」

s「初野駅です。(次の目的地)」

預かり人「じゃあ届けに行きますよ。」

 

とこんな感じでなんとわざわざ持ってきてくださるそうだ。世の中にはとても心優しい方がいるものだ。

初野駅

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俺にとっては初の初野駅(激寒)

この初野駅も糠南程ではないが、周辺にはたいしたものはない。とはいえ少し離れた所に牧場があり、近くには国道があり、車もそこそこではあるが走っている。流石に糠南みたいに熊が出る事はなさそうだ。

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また、駅のホームも朝礼台タイプではあるが、長さはしっかりと確保されている。

元々この駅は糠南駅と同様に仮乗降場という扱いの場所だったようだ。よくあるパターンとしては仮乗降場として開業して、国鉄民営化と同時に駅に昇格という流れだが、この駅は「初野乗降場設置促進期成会」という団体の手によって1959年にはもう既に駅に昇格していたんだとか。今となっては集落もクソもないが当時は集落があったのだろう。

 

この駅の2011年の平均乗降客数は0人なのに2014年には、なぜか10人に増えている。昨今では都心部の駅でさえ少子高齢化で乗降客数が減少している所があるのに、初野駅では3年で1000%以上の増加を見せている。時代は初野駅だ(違う)

 待合所も、プレハブ小屋ではあるものの、普通の駅と同じくらいの大きさ。

 

と、しばらく駅を見ていると見覚えのある車が一台やってきた。さっき糠南から問寒別まで連れて行ってくれた方の車だ。この車の中に携帯を落としてしまい、それをわざわざこんな辺鄙な所まで届けてくれたのだ。携帯を受け取り、二人でお礼を言った後はすぐに別の場所へと行ってしまった。ありがとうございました。

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相変わらずしょうもない駅ノート

駅をある程度物色した後は、少し歩くことに。向かう先は、さっきほんちょっと触れた国道。

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本当に何もない...というよりかは、周辺には田んぼが広がっておりちょくちょく建物があるという感じで、人がほとんどいない限界集落というよりかは農村ぽい雰囲気(人がいない事に変わりはない)

 

便利な名士バス

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10分くらい歩くと、バス停が見えた。かなり細くて、道ではなく畑にぶっ刺さっていて、ボーっと歩いていたら見逃しそうな頼りないバス停だ。

この辺りは宗谷線に並行して、名士バスの恩根内線が名寄~恩根内で並行して走っている。本数は1~2時間に1本だが、しっかり時刻表を読んで組めば、駅めぐりにはかなり使えそうだ。

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というわけでやってきたバスに乗車。バスには詳しくないから間違ってるかもしれないけど、平成初期感が漂う車両だ。

 

一般的なバス(個人的)は運転席の近くはロングシートで後方がクロスシートって感じだが、ここはバスの車内のほぼ全てがクロスシートとなっている。長距離輸送に対応するために着席定員を増やした仕様となっているのだ。

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西里4線バス停

バス停撮り忘れた

乗車して数分で下車。降りたのは西里4線バス停。この辺りは目印になるものが無く、その結果地名N(任意の数字)線のバス停が量産されている。ややこしいので乗る際はしっかり注意しよう。

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さっきと変わらない風景

バスを降りたら、近くの交差点を右に曲がって道道445号線をひたすらまっすぐに歩く。北海道の道路はアフリカ大陸の国々の国境並みにまっすぐな場所が多いから、こういった田舎だとかなり分かりやすい。

 

紋穂内駅

紋穂内駅

歩くこと15分、紋穂内駅に着いた。

駅舎は車掌型駅舎。かつては交換設備を有しており、貨物の取り扱いもしていたそうだが、ホームがもう一つあった頃の面影すらなく、ただの草原が目の前に広がるのみだった。

この駅も当然のことながら住宅などはほとんど見られないが、近く(Wikipedia基準)にびふか温泉がある。とはいっても歩いて40分くらいかかるし、そもそも一日上下合わせて8本しか停まらないので、名寄からさっきの恩根内線を使った方が良い。

このような有様であるから、紋穂内駅の乗降客数は2人。地元住民の利用客は周辺を見るとお察しなので、さっき見た宿屋か秘境駅巡り勢の利用のみで生きてきたのだろう。しかし、2021年のダイヤ改正をもって110年の歴史に幕を閉じることになった。

こうして紋穂内駅の名前は歴史の彼方に消える...と思ったがそうではない。さっきバス停から駅まで歩く際に通った道道445号の正式名称は、紋穂内停車場線という。この道路によってここに駅があったという記憶は残っていくのである。

15分程撮影やらを楽しんでいたら、列車がやってきた。この稚内行きに乗って一つ隣の恩根内駅に向かう。

 

恩根内駅

 

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割としっかりとした?駅舎をしているこの駅が恩根内駅。待合室を設ける為の最低限のスペースしかないが、中にはちゃんとトイレも有るかなり近代的な駅だ。

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駅前には少しではあるが住宅が広がっていて、郵便局もあって、さっきまでの駅はせいぜい国道程度しかない駅や、それすらもない所がほとんどなのでこれでも発展しているほうだ。

多少の学生が利用していそうだが、一日の乗降人数はなんと6人。

自治体は学生の利用が見込まれるとして存続を求めているが、見込みだけでほとんど増える事はないだろう。もちろん自治体もただ言っているわけではなく、恩根内駅存続のために年間50万円を支出している。2021年にはこの支出が年間200万円になるらしいが、果たしてそれに見合う利用が望めるのか...。

 

ここでは1時間半ほどがあるのでじっくりと楽しむことができる。

 

まずは駅からまっすぐ続いている道を歩く。

そこからやっているのかやっていないのかよく分からない状態であった松原商店というお店を見つけたら右に曲がる。

アートビレッジ恩根内

目的地はここだ。

アートヴィレッジ恩根内

これはアートビレッジ恩根内というところで平成25年に開業した廃校を利用したカフェだ。外見は花の絵や虹が描かれていて、とてもほっこりしたデザインとなっている。これはなかなか面白いものを見た、せっかくだから入ってみようと思ったが...

 

やってなかった...。

あと定休日の看板を見た後に、近くにいた蜂に追い掛け回された。散々だった。

 

駅に戻ってしばらく時間を持て余したのちに列車に乗る。

キハ40 紫水号

やってきたのは普通列車名寄行き。さっき乗った稚内行きとは1時間40分間隔なので、列車を使った駅巡りではかなり重宝できる列車だ。

車両はキハ40「紫水」

かなり特徴的な車両だが、紹介は後に回そう。

 

清水駅

豊清水駅

今回の駅巡りで秘境駅らしい場所はこれで最後だ。

この駅は珍しく現役で行き違い設備が生きている。美深~音威子府の間にある唯一の行き違い設備保有駅で、これがないと約30kmの区間で行き違い設備がないことになる。かなり大切な場所でTwitterを見てみると実際に利用されている所も確認できる。

 

駅の裏側は山だ。JR北海道の敷地外なのかどうかは知らないが、線路の脇の草はほどほどに高さが整っている。管理はされているのだろう。

豊清水駅

駅舎は古めかしい木造駅舎。最近は味のある木造駅舎も、コンクリート製の小さい駅舎に建て替えられたり、ひどいときは駅舎自体が無くなってしまったりと、どんどん合理化が進んでいってしまっているが、この駅は昔ながらのスタイルを貫いていてくれる。

中はベンチと、とりあえず触ってはいけなさそうな電話、後は運賃表とホームの安全に関する注意書きがある程度。かつて有人駅だった無人駅駅舎によくある窓口跡は、運賃表の裏の板にあるのだろうか?

駅の外は線路と地面にかなりの高低差がある。当然エレベーターもなければスロープすらもない時代に逆行したバリアフルタイプだ。

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駅の入り口から見た駅周辺

本当に人が住んでいる気配が見えない。

駅の目の前は道路っぽいものは整備されているが、コンクリートはひび割れていて、車同士の行き違いもできそうにない。

 

こうしてみると鉄道以外の到達手段が無いように見えるが、Wikipediaを見てみると美深町のスクールバスがあるらしい。ただ時刻表を検索しても、美深町の公式サイトにアクセスしても情報は一切出てこず、全く情報がつかめないので、存在すら怪しい。

時間を持て余すことなく、でも追われることもなくちょうどいい時間で列車がやってきた。乗るのはさっき乗ったキハ40「紫水」号だ。

 

この車両は2019年に誕生したもので既存の列車を改造した観光列車だ。観光列車といえばもっぱら臨時列車専用ってものがほとんどだが、この車両は暇があれば普通運用にも入れるすぐれもの(というか普通運用が圧倒的に多い)

車内は普通のキハ40みたいな無機質ではなく、木目調のスタイル。内装を重視した改造が施され、一両当たりなんと1000万円もの費用が掛かっているようだ。これを高いか安いと思うかは人それぞれだろうが、車齢40年の車両にここまでの改造を施したのは、すごい(語彙力のなさ)。末永く活躍して北海道を盛り上げてほしいが、言い換えれば車齢40年近い車両がまだまだ活躍するのである。果たしてどのような気持ちで迎えればいいのやら。

 

名寄駅

真っ暗闇の中、一時間で終点の名寄に着いた。

 

駅にはしっかりしたホームが複数あり、時間帯にもよるが駅員もいて窓口もある。これは都会だ。

駅前にはバスも発着している。典型的な地方の駅前だが充分栄えていると錯覚してしまう。

さて、腹が減ってきた。(唐突)。今回はこの駅前食堂みつぼしで頂く。この食堂はかなり歴史が長いらしくなんと1914年からやっているのだそう。これを聞くとかなりノスタルジックな雰囲気を想像するだろうが、中は現代のファミレスと同じような内装だ。

定食系のメニューも充実しており、どれを食べようか悩んだが、ここでは野菜炒め定食を頂いた。旅行中はついつい好きなものや気になったものばかりを食べてしまい、野菜が不足しがちだからという健康的な理由だ。

野菜の味付けも濃すぎず薄すぎずでちょうどよく、味噌汁も美味しかった。

 

さて、腹ごしらえもしたところで、さっさと今日の宿に向かうこととする。

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乗るのは特急宗谷札幌行き。2日前に幌延で見た列車だ。需要はあるのか?と疑問に思っていたが、車内は以外にもビジネス客がたくさんいた。窓側はほぼ全て埋まっており、二人掛けで席は空いてるか?と疑問に思ったものの、無事に席を確保できた。

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 だらだらと車内で過ごすこと50分、旭川に到着。旭川でそれなりに人は降りたものの、乗る人もそこそこおり、たくさんの乗客を乗せて宗谷号は旭川を後にした。

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OYOホテルザ・グリーン旭川

特急を降りた我々は宿に向かう。今夜は旭川駅から歩いて10分の所にあるOYOホテルザ・グリーン旭川に宿泊。あまり聞きなれない名前だが、OYOホテルとはインドの会社が母体となって展開しているホテルで、主に古くなったホテルを改装したりして、それを運営している。設備の割に値段もお手頃な所が多く、クーポンもかなりの頻度で発行されているので貧乏旅行人にはうってつけのニューホープって奴だ。

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今回は初めてOYOホテルに泊まる人に発行されるクーポンを利用することで、ツインデラックスルームをなんと二人で1000円で予約することができた。しかも部屋は風呂トイレ別。かなり豪華だ。

この後は洗濯やら風呂やらを済ませて寝た。

 

さて、二回に渡ってお送りした宗谷線秘境駅巡り...いかが...どうでしたか!?自分で言うのは難だけどかなりうまく予定を組めたなと思っています。宗谷線はみなさんご存じの通り列車の本数が絶望的に少なく、特に名寄以北は普通列車が三往復という有様。ある意味、公共交通機関での秘境駅巡りの限界に挑んだ形となりました(途中で車乗せてもらったけど)

さて、次回は...またもやバス旅です。まあ鉄道要素も多分それなりにあるので許してください。

てな感じで今日はここまで。本日もありがとうございました。


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